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血液凝固系検査2012.12.12
昨日新しい検査機器が入りました。
血液凝固系を検査する機器です。
血液が出血してから血が止まるまでには複雑な反応を繰り返し
最終的には血栓となり止血します。
止血の機構として1次止血、2次止血、3次止血があります。
1次止血とは血小板が血管の損傷を塞ぐ機構です。
2次止血は血小板にて仮止血された部分を血栓という強固なもので止血する機構です。
3次止血はこの血栓を溶かしていく過程です。
ワンちゃんや猫ちゃんによくみられる凝固系疾患とは骨髄抑制やDICや血小板減少症などの血小板障害や
ビタミンK欠乏症や慢性肝炎や殺鼠剤中毒などの凝固因子の欠乏
そして血友病などの遺伝的に凝固因子が欠乏している場合などがあります。
今まで当院では血液凝固系検査で常に実施していたのは血小板検査だけで
2次止血で行われる検査は検査センターに外注検査として委託していました。
今までにも腫瘍の摘出手術や歯石除去・抜歯手術など多くの出血が予想される手術の時は当然ですが、避妊手術や去勢手術時でも時々なかなか血が止まらずとても心配した症例がありました。
でもこれからは手術をする前にこれらの血液凝固系の検査を行うことにより、血の止まりにくい症例に対しては術前から処置をおこなうことができるようなり、安全に手術を行うことができるようになります。
また慢性肝炎や胆管閉塞などで血液凝固因子が欠乏していることが分かれば、日常生活でぶつけたりしてない出血を起こさないように気をつけてあげることもできるようになります。
稀な症例ですが今までに何例かは遺伝的に凝固因子が欠乏しているワンちゃんを診察したことがありますが、このようなワンちゃんに対しても激しい運動をさせたり硬いものを与えたりしないようにして日頃から健康管理に注意することができるようになります。
今回、この血液凝固系検査がルーチンに行うことができるようになり、私たち獣医師もまた手術を受けるワンちゃんや猫ちゃんの飼い主さんもより安心して手術を行うことができるようになりました。