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トト君2012.04.21
1歳のオス猫のトト君です。
2月20日に交通事故に遭い骨盤骨折を起こしてしまいました。
骨折は保存的療法で治ったのですが、
事故の日より排尿をすることが出来なくなってしまいました。
トト君の排尿をすることができない原因は
骨盤骨折を起こしたときに骨盤のところの脊髄損傷を起こしてしまったためです。
脊髄損傷を起こしているので尿が膀胱に溜まったと言う尿意もありません。
いつ膀胱に尿が溜まりそれが溢れて漏れ出ている状態です。
排便も便意があるのかどうか分からない状態でしたので、
いつもオムツをしていなくてはいけない状態です。
トト君はとっても長くて立派な尻尾をしていましたが
ダランとしてまったく動かず痛みも感じません。
トト君が来院したのは事故から2週間後でした。
事故からの日数を考えると、このまま自然に脊髄の機能が回復するとは思えません。
そこで脂肪幹細胞療法を提案しました。
脂肪幹細胞療法はまだ確立された治療ではないので絶対よくなる保障はありません。
でも、まだ1歳のトト君がこれからの長い人生の間
ずっとオムツをしなくてはいけないかもしれないことを考えて、
脂肪幹細胞療法を行うことを決断してくれました。
3月24日に手術を行い脂肪を摘出し脂肪幹細胞を抽出し3週間かけて培養をしました。
そして4月14日に培養した幹細胞を点滴でトト君にもどしました。
変化が見られたのは点滴後2日くらいからです。
点滴を行ったころは尿意は回復していたのですが排尿はやはりできなかったのが、
自分でトイレに行き排尿も排便もするようになりました。
1週間経った今ではオムツをしなくてもいい状態にまで回復しました。
まだ完全に全ての尿や便を排出することは出来ていないようですが
本来の猫としての姿を取り戻すことが出来てとても良かったです。
しかも、点滴後毛並みがよくなりとても元気になったそうです。
当院で行った脂肪幹細胞療法の1例目がトト君です。
治療の効果があり事故前の生活を送ることが出来るまでに回復したことはとても嬉しいです。
またこれから脊髄損傷の症例に対して明るい光が見えたように思います。