シニアのネコちゃん
10歳を超えたらOVER 10 YEARS
ネコちゃんも人間と同様に、年をとるにつれ、様々な身体能力が次第に衰えていきます。飼主様にとっては、いつまでも可愛い子供のように見えても、ネコちゃんは人間の数倍の速さで年齢を重ねていくのです。老齢になるとネコちゃんの行動もこれまでとは違う変化をしていきます。シニアのネコちゃんとの過ごし方を知っていただき、これまで以上に楽しい生活を過ごしてください。
このページでは10歳以上のネコちゃんとの暮らしで気を付けていただきたいことを記載しています。 基本的な予防や病気については、「ネコちゃんの健康管理」についてのページをご覧ください。
ネコちゃんの年齢換算表(年齢は目安です)
猫 | 1歳 | 2歳 | 3歳 | 4歳 | 5歳 | 6歳 | 7歳 | 8歳 | 9歳 | 10歳 |
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人 | 15歳 | 24歳 | 28歳 | 32歳 | 36歳 | 40歳 | 44歳 | 48歳 | 52歳 | 56歳 |
猫 | 11歳 | 12歳 | 13歳 | 14歳 | 15歳 | 16歳 | 17歳 | 18歳 | 19歳 | 20歳 |
人 | 60歳 | 64歳 | 68歳 | 72歳 | 76歳 | 80歳 | 84歳 | 88歳 | 92歳 | 96歳 |
老化のサインに気づいてあげよう(部位別にみる老化のサイン)
眼 | ・視力が低下する ・目からの分泌物の色が変化してきた(白・黄色・血の混じったような茶色) |
耳 | ・耳の内部が汚れている ・呼んでも反応しないなど、聴力が低下している |
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口 | ・歯肉からの出血などの異常がある ・食事の際に食べ物を口からこぼす ・歯が抜けたり、口が臭ったりする |
食事 | ・水を飲む量が増加してきた ・食事の嗜好性が変化してきた |
排泄物 | ・糞便の色が変化してきた ・尿の回数や量が多くなってきた ・尿の回数や量が少なくなってきた |
被毛 | ・被毛の状態が変化してきた(乾燥・ツヤが無い・フケ・脱毛) |
生活スタイル | ・体重の減少がある ・寝る時間が長くなってきた ・物事への関心が低下してきた |
シニアのネコちゃんへの当院の取組APPROACH TO SENIOR CATS
当院ではシニアのネコちゃんに向けた取組みとして、シニア動物全般に向けた獣医療をご提供するシニア科を開設しています。シニア科では下記のように生活面のサポートから、獣医療面でのサポートまで幅広く対応させていただいております。
シニア生活のサポート面
生活スタイルのご相談
シニア期になると、お家での過ごし方やお散歩の仕方、病気との付き合い方などで、様々な変化が出て来ます。特に高齢期になると認知症や介護の問題が出てくることもあります。飼主様と動物の楽しい暮らしの為に様々なご相談をお受けしています。
食事管理のご相談
食事は健康管理の基本です。高齢になるとご飯を食べない、量が減ったなどのご相談をよくお受けします。また、持病がある場合は療法食などの食事療法も必要となります。毎日のことである食事についてもご相談をお受けしています。
一時預かり(デイケア)
シニア期になると持病があったり、認知症が始まったりなどで、猫ちゃんだけでお家で過ごすことが難しくなることもあります。一方で飼主様自身が一定時間、家を空けなければいけないこともあるかと思います。そういった場合に安心してお出かけいただけるように、当院で一時預かりも行っております。(要ワクチン)
シニアの病気や治療でのサポート面
シニアのネコちゃんに優しい診療
セカンドオピニオン
負担の少ない検査
高齢になるとちょっとしたことがストレスに繋がり、動物への負担となるケースがあります。当院ではできる限り検査においても動物へ負担が少なくできる機器や方法を用いて行っております。
負担の少ない治療
高齢になると体力や免疫が低下するため、若い頃の治療法と方針を変えてあげることも必要です。動物の状態や飼主様のご要望に応じ、負担の少ない治療法含め、複数の治療法をご提示させていただいております。
病気の早期発見のための定期検診
高齢になるにつれ様々な病気を発症するリスクが高まります。心臓や内臓疾患など慢性化する前に早期治療が重要な病気も多くあります。病気の早期発見のためには定期的に健康診断を行うことが重要です。早期発見、早期治療を目指しましょう。
負担の少ない手術
手術時にはできる限り動物への負担の少ない方法を取り入れています。麻酔時間の短縮や、体内に糸を残さない方式、手術時間が短くなる方法など、動物への負担軽減を常に考えております。
3大予防をしっかりと継続しましょう
シニア期になると、これまで継続してきた3大予防(①ワクチン接種、②ノミ・ダニ予防、③フィラリア予防をやめてしまう飼主様も出てきます。これらの予防はネコちゃんの健康の基本となります。しっかりと継続してあげてください。
シニア期の健康診断の重要性NEUTERING & SPAYING
ネコちゃんは症状や痛みを隠す動物です
ネコちゃんは症状や痛みなどを隠す動物です。そのため、症状が出て来た時には既に病状が進行してしまっていることがよくあります。定期的に健康診断を受診していただくことで病気の早期発見ができます。定期的に健康診断を受診してください。
健康な時期の検査数値を把握しておきましょう
定期的に健康診断を受けておくと、健康な時期の検査数値を把握しておくことができます。教科書などに記載のある「標準的な検査数値の範囲」は存在しますが、動物個々でその正常値が異なります。健康時のデータを把握していればその子の適正範囲が分かりますので、異常があった場合にも安心です。
シニア特有の病気を見つける検査項目
健康診断では、身体検査はもちろん、血液検査やレントゲン検査、エコー検査などを組合わせて行っていきます。 腎臓疾患、心臓疾患、腫瘍などの特に高齢期に多い病気でも血液検査で見つけることができるようになってきました。これらは麻酔などをかけることもないため、動物への負担も少なくて済みます。 定期的な検査を行ってあげましょう。
シニア期以降に考えたい健康診断
10歳以降のシニア期は年間2回程度の健康診断の受診をお勧めしています。シニア期では、体力の衰えとともに免疫も落ちてきますので、病気の早期発見が長生きには必須です。
血液検査(血球検査、生化学検査、電解質検査)
レントゲン検査(胸部・腹部)
エコー検査
尿検査
便検査
を組み合わせた健康診断をお勧めしています。
内容はネコちゃんの状態や飼主様のご要望に応じてカスタマイズしますので、診察時にご相談ください。
高齢のネコちゃんに多い病気NEUTERING & SPAYING
ホルモンの病気(甲状腺機能亢進症など)
特に中高齢によくみられます。甲状腺の機能異常により、ホルモンが過剰分泌されて障害が現れてきます。食欲があるのに痩せていく場合は要注意です。
腎臓の病気(腎不全など)
腎臓の働きが悪くなり、老廃物が体内に溜まることにより、貧血や尿毒症などを引き起こします。飲水量やおしっこの量が増えてきたら、まず腎疾患を疑いましょう。
膵臓の病気(膵炎・三臓器炎など)
老齢期のネコちゃんによくみられますが、食欲低下、体重減少や下痢など他の病気と症状が似ているため、見つけにくい病気です。胆管肝炎などを併発し、黄疸が見られることもあり、重症化すると命に関わる病気です。
腫瘍(乳腺腫瘍 など)
雌の乳房またはその付近の乳腺に様々な大きさの「しこり」が発生する病気です。猫の乳腺腫瘍は90%以上が悪性で早期の外科切除が必要となります。
関節の病気(関節炎など)
歩き方がおかしい、足をひきずるなどの症状が出ます。関節軟骨の障害により、慢性的な痛みが持続し生活の質が低下します。
お口の病気(歯周病など)
歯と歯ぐきの間に入り込んで増殖した細菌によって歯ぐきが炎症を起こし、歯を支える部分が破壊されていく病気です。歯に溜まった歯垢や歯石が主な原因となります。
上記の病気は一例です。また、病気を予防するためにも日頃のケアに注意しましょう。